Concept

被爆者のいない未来。
被爆から65年が経ち、被爆者の平均年齢は75歳をこえました。近い将来、被爆者のいない未来が確実にやってきます。原爆の体験者である被爆者がこの世からいなくなることは、誰よりも平和を願う歴史の証人がいなくなることでもあります。

風化する歴史。
8月9日が何の日か知っていますか?原爆投下の正確な時刻を知っていますか?この問いに正確に答えることのできる人は、多くはありません。65年前の事実はメディアや教育の中で取り上げられる機会も減少し、人々の記憶からだんだんと忘れ去られています。

世界が抱えるリスク。
現在も全世界には20,000発以上の核兵器が存在すると言われています。米国オバマ大統領が核なき世界へ向けての本格的な舵を切ろうと試みてはいるものの、地球上に核兵器のリスクが存在していることに変わりはありません。

これからの世代。
これから生まれてくる子どもたちが、最初に原爆を知るのは、インターネットというメディアからである可能性は高いでしょう。彼らが自らインターネットで歴史を学ぼうと考えたときに、どのような歴史がそこに存在しているのか。それは、それを提供する側の課題であるとともに、新しい歴史学習の可能性でもあります。

私たちに、できること。
このような状況の中で、被爆地長崎から、何か新しい試みに取り組むことはできないかと思うようになりました。長崎に現存する数々の貴重な資料を、より有効に活用する方法を探る中でたどり着いたのがこのプロジェクトです。原爆資料館や地元のメディアが所有している多くの資料。足を運ばない限りアクセスできないそれらの資料に、全世界から簡単にアクセスできる。しかも地形とひもづいた情報を付加することで、より立体的に長崎の被爆の実相を追体験できる。そういった資料室、教科書、道具のようなものをデジタル地球儀(google earth)上に再現することを目指すのがNagasaki Archiveです。私たちは、このNagasaki Archiveが長崎を人類最後の被爆地にするために多くの人々に利用していただけることを祈っています。